スポンサーリンク

『コスパ』は人を殺すから

みなさん、ショッピングするときに何をチェックしてから買いますか?

機能ですか?…もちろんみますよね。機能がよければよいほどいいことです。

次は…値段、も必ずチェックしますよね。安いか高いか、予算におさまっているかどうかはすごく大事。ここにをクリアしなきゃ絶対買いません。

そして、やっぱり…モノを買う時に値段が安かったら嬉しいですよね?

高いブランドが好きな人はたくさんいますが、安いモノが嫌いって人はいません。

そうなると、重要視したいのは「コストパフォーマンス」、いわゆる「コスパ」なんだとおもいます。ちなみに、「コスパ」の具体的な定義をみてみると、

支出した費用とそれによって得られたものとの割合。費用対効果。

デジタル大辞泉 – コトバンク

ということ。要は「とてもいいものをどれだけ安く買うか」が最高のショッピングの秘訣になってきます。

バブル経済が弾け、昭和も平成も終わった令和、日本の景気は後退し続けていて(企業的にあがっているかもしれませんが、賃金の下落や税の上昇を加味して一般の)若い人たちは特に、少ないお金でやりくりせざるを得ません。

そうなってくると、「コスパ」というのは時代の後押しもあり、買い物の大きな指標として大きく求められる要因になった…といっても過言ではありません。

『コスパ』はモノやコトの宣伝文句として広く使われるようになりました。とくに若者のあいだでウケるようで、SNSやブログでインフルエンサーやアフィリエイターが使用しているのをよく見かけます。

その中でも「少ないモノの数で生活しているミニマリスト」にとって『コスパ』は相性抜群。機能性がよかったり、多機能な道具を持っていれば少ないモノの数で過ごすことに繋がります。それに、彼らの多くは少ない金額で生活することを望んでいます。

ブロガーの商品紹介の記事なんかみていても、「コスパいいです!おすすめ!」という文言はよくみますよね。安くて機能性抜群なんて、誰しも買いたくなっちゃうもんだ。

購買意欲をそそる魔法の言葉

でもね、あなたが読者だった場合、ここでコロッと商品をカートにいれないようにしてほしいんです。『コスパ』とは魔法のように素敵な言葉のようにみえますが、実はあなたにとっては中身のないハリボテかもしれませんから

スポンサーリンク

『コスパ』が主張しているもの

彼らは具体的になにを指して「コスパがいい」「コスパが悪い」と主張しているのでしょうか?ちなみに”彼ら”というのは

  • あなたの友達
  • あなたの家族
  • あなたの同僚
  • キュレーションサイトのライター
  • ブロガー
  • インフルエンサー
  • Youtuber
  • その他ネット上でフォロワーがたくさんいる人
  • +フォロワーがたくさん欲しい人
  • +いいねがたくさん欲しい人
  • +PVがたくさん欲しい人

のことです。まわりにいる、またはSNSのタイムラインにいるすべての人のことを思い浮かべてください。ジャンルは問いません。ファッションでもインテリアでも結構です。

答えをいいます。彼らは「プロダクトの中で、求める機能を満たしていて、かつお金がかからないモノ」に対して「コスパがいい」と主張しています。当たり前だ、と思いますよね?その通りです。ほんとうに当たり前のことを書いています。もう一度、書いてみますね。

“彼ら”は「”彼らが知っている”プロダクトの中で、”彼らの”求める機能を満たしていて、かつお金がかからないモノ」に対して「コスパがいい」と主張しています

そう、『コスパ』とは一般人が語る限り、そして”彼ら”が知識を持った人じゃない限り、きちんと調べて発言していない限り、ほとんど主観的な感想みたいなもんです。決して客観的、数値的なものではありません。いってしまえば「このぬいぐるみ、カワイイから買った!」という小さな女の子の『カワイイ』が、ある大人の男性にとっては当てはまらなかった、なんてことと同じです。

だからこそ、自分の測った『コスパ』を絶対的な指標と思って他人に押し付けている人がたくさんいること、そして他人の『コスパ』の尺度に自分を当てはめていく人の多さに危惧しています。

『コスパ』が悪いってなに?

たとえば、ファッションブランドについて、ミニマリストのこんな意見をみたことがあります。
→「ハイブラは値段に見合うだけの価値がない。コスパ悪い。ユニクロでいい。」

たとえば、美術について、ミニマリストのこんな意見をみたことがあります。
→「アートなんか使えないのに金をかける必要ない。コスパ悪い。」

たとえば、趣味について、ミニマリストのこんな意見をみたことがあります。
→「〇〇の趣味はコスパ悪い。株の投資とか、ブログ執筆(=マネタイズ)の趣味を持ったほうがいい。」

どうでしょうか?ミニマリストに限らず、こんなことを言う人は世の中ごまんといます。聞いたのことある主張も含まれていたでしょうし、もしかしたらあなたが思っていたことかもしれません。

でもですね、やっぱり『コスパ』は過信しないほうがいいんですよ。だって先ほども書いた通り、人はふつうに安いほうが好きだし、そっちを求めるじゃないですか。じゃあなんでハイブランドは、美術は、その趣味は今もこの世に残っているのでしょうか?

簡単な話ですよね。それに価値を見出している人がいるからです。その価値を知っているから、です。もしそこに価値を感じていたら「コスパが悪い」という言葉はでてきませんよね?つまりよくあるインフルエンサーの「コスパが悪い」という主張は、もしかしたら「わたしはそれを理解できていません」と同意義なのかもしれない、という可能性を孕んでいます。

「コスパが悪い=自分はそのことについて知識も理解もありません」

こんな記事があります。

コスパ最強といわれるユニクロとハイブランドをトリガーに、コストパフォーマンスを題材に書かれています。その中で、絵画を例にあげてこんな一文があります。

美術を知っている人であればその偉大な画家の絵をレンブラントの光と影の表現技法と比べて「コントラストが弱いように感じる」と言うことはできるでしょう。しかし美術を知らない人が偉大な画家の絵を見ても「この前見た美大の友達が書いた絵の方がうまい」と思う可能性が高いです。

【コスパ】ブランド服とユニクロ服の違い【情弱】

私の主張はほぼまんまこのとおりです。結局、人は知らない事を認知できないんです。(ものすごく当たり前のことですが、この考えが抜けて自分の意見が絶対だと思っている人は世の中たくさんいる

ハイブランドを着ている人は、それを必要と感じるから着ています。

  • 高級ジャケットが必要な社交の場にでる
  • 服の型、シルエット、襟の具合、ボタン、素材など一つ一つこだわりがある
  • ブランドのファン
  • そのブランドを着ると気分があがる

それなのに、とくにこだわりがない、いい感じの服を着れば楽しいだけの一般人が「ユニクロと比較しました!型が一緒です!着心地も両方いい感じです!コスパ的にユニクロの勝ち!ユニクロで十分では?」と主張しても、なーんにも意味がないわけです。だって、彼らはそのブランドの、服の、作り手のよさを知りません(=認知できていません)し、デザインの意図を理解できていませんし、好みじゃないだけかもしれないし、ハイブランドが相応しい場所にもいかないでしょうから(そして、ブランドのターゲット層でもありません)。そうすれば自ずと「なんでハイブラはこんなに高いんだ?いわゆる”ブランド料”か?コスパ悪すぎだろ!」と結論づけてしまうでしょう。

“彼ら”の『コスパ』とは、平易な言葉であらわすと「自分の知らないこと、理解できないことを全部無視したうえで、経験上知っているもの、理解できる最上位を並べた中の安いやつ」です。つまり先ほどのミニマリストの主張は

「ハイブラは値段に見合うだけの価値がない。コスパ悪い。ユニクロでいい。」
⇒自分はハイブランドの歴史や作品の素晴らしさがわかりません。知りません。

「アートなんか使えないのに金をかける必要ない。コスパ悪い。」
⇒自分はアートの価値がわかりません。絵や彫刻の見方を知りません。

「〇〇の趣味はコスパ悪い。株の投資とか、ブログ執筆(=マネタイズ)の趣味を持ったほうがいい。」
⇒その趣味によって味わえる高揚感を知りません。お金のほうが好き。

ということなのかもしれません。もちろん、その方が『コスパ』を主張するカテゴリに対して知識があったり調べたり、なにかしらの経験があるならば、きっと信頼性たる「コスパ」な話になり得ます。しかし、残念ながら世の中の99.9%の『コスパ』はそうではない発信者によって使われています

さて、あなたがSNSでフォローしている「ハイブラはコスパ悪い」と主張するユニクロ&無印大好きのインフルエンサー、ハイブラが必要な場面がありそうな方ですか?服飾の知識がありそうですか?買ったことがある、くらいじゃ客観的な「コスパ」は語れなさそうですね。

あなたがたまに訪れるウェブサイトの「〇〇を買うならオススメ10選!!コスパよし!!」。なにが理由でオススメで、なにが理由でコスパがいいんでしょうか?同じ相場の他の製品はいくつ、どの観点で網羅されていましたか?公式サイトの引用はありますか?

あなたがチェックしているミニマリストが主張している「〇〇はコスパが悪い」、どこに根拠があったんでしょう?そのジャンルの専門家でしたか?もしくはその主張をするに見合った体験談がおありですか?(ちなみに肩書きにミニマリストをつけるのは誰でもできることですし、彼らは”モノの専門家”なんかじゃありません。念の為。)

『コスパ』自体は悪ではない

…と、ここまで長々『コスパ』という言葉についてあれこれネガティブなことを書いてきましたが、おわりに『コスパ』自体は悪いものではない、ということを述べておきたいです。

価格に見合わない製品なんて世の中に腐るほどありますし、反対にお値段以上な製品も埋もれるほどあります。誰しもが安くて性能がいいモノ/コトを求めるのは自然のこと。わたしだってお得に買い物できたら万々歳だと思います。

「一般人の語る『コスパ』はただの感想」くらいの理解さえしておけば、良い評価に使うのは基本的になにも問題ありません。コスパがいいと感じたらぜひみんなに教えてほしい。ただしあなたの『コスパ』を他人に押し付けないように注意はしておきましょう。(『かわいい』猫を飼っていたらみんなに教えてあげたいですよね?でも『かわいさ』を押し付けすぎるのは嫌われます。『かわいい』の基準はみんなバラバラです。)

そして、価値をしらないこと、理解できないことも悪いことではありません。ハイブランドの価値なんか知らなくても幸せだし、アートだってただの嗜好品。わざわざ気にしなきゃいけない必要なんてどこにもありません。大事なので繰り返しますが、理解できないことや知らない事は全く悪ではありません。

ただし安易に「〇〇はコスパ悪い」とネガティブな主張しようもんならその道のスペシャリスト、ひいては〇〇のファンに白い目でみられます。あなたの飼い猫を『ブサイク』といわれているようなもんです。余計なお世話なので、主張しないで心に留めておいてください

そして、気をつけて欲しいのは受け取り手、読者側のほうもです。

  • ブログやキュレーションサイトでいえば読者
  • Youtubeやテレビでいえば視聴者
  • SNSならフォロワー

もう一度言わせてください。あなたがフォローしているインフルエンサーが「コスパがいい!」なんて言葉で商品を紹介しているのをみても、コロッと商品をカートにいれないようにしてほしいんです。『コスパ』とは魔法のような素敵な言葉のようにみえますが、それは「その人にとって、そしてその時点の知識で」ということなんです。そのジャンルの専門家でなければ決して客観的な指標でもなんでもないし、実はほんとうはあなたの願い叶えてくれる製品だったのかもしれません。

反対に彼らが「〇〇なんてコスパ悪い!」と主張していても、安易に納得して同調しないでください。その人とあなたの人生は全く違うものだし、感性も異なるし、知識レベルも、目指している将来の姿も違うはず。最初からそれを鵜呑みにして、その〇〇を好きになれたかもしれない可能性を潰さないでください。彼らはあなたの人生を1ミリも保証する気なんてありませんよ

さいごに

ここ最近考えていたことをバーっと書いてみました。読んでくれた方には申し訳ないほど文章も順序も整っていません。

ミニマリスト界隈にいると本当に『コスパ』という言葉をよく見るような気がします。ポジティブな発言なら全然いいのですが、とにかく「コスパが悪い」というネガティブな発言が、いーーーっぱい見られます。

とくにパッと見てわからないもの、たとえば、(この記事でも何回も例にだしましたが)ハイブランドファッションやアート、そして装飾目的のインテリアに対して「コスパが悪いので断捨離しろ」と主張する人がたくさんいます。あまさえ他人の趣味に口だして”お金儲け”を持ち込もうとしたり、「こっちの製品のほうがコスパいいのに〇〇を買うなんて情弱」と発言する人もいます。”彼ら”は彼らなりのいいことのつもりで発言しているんでしょうが、その『コスパ』の尺度が他人に対して攻撃的になっている自覚が薄れています。(もしかしたら自覚しているのかもしれませんが、”彼ら”の”効率のよい””お金儲け”に効果的だから続けている可能性もありますね)。

個人的にそういった人をみかけても「そういう知識レベルにいて、そんな考え方をもつ人なんだなぁ。」と思うくらいですが、そんなふうに『コスパ』が台頭しすぎて他の人たちがしんどい思いをするんじゃないだろうかと思案してしまいます。

「他人の好きなものに対して(評価でなく)ネガティブな個人的意見を主張する人」とも思いますが。

実際に他人の『コスパ』の尺度にあてられた方がいたら、「この〇〇はコスパがいい」という言葉をみたら、ぜひ「このねこちゃんが可愛い」くらいのことだと思ってみてください。彼にとってはその猫が特別可愛いな〜と思っただけで、あなたは別の猫が好きかもしれません。そしてどの猫も誰かにとったら魅力的なはず。賛成できたら「いいね!」押しておきましょう。

反対に「この〇〇はコスパ悪い」とみかけたら「このねこちゃんブサイク」と変換して受け止めてください。「あ、そうなんだ。それはあなたの意見であって、まぁねこちゃんは可愛いですけどね?」と強気に思ってください。犬でも鳥でもなんでもいいです。とにかく『コスパ』という言葉が絶対的な指標と思わないこと、そして自分が『コスパ』を発言する前に攻撃的でないか再確認することが大事です。

自分の願いに見合った製品か、自分の求める機能か、価格か、製品かというのは最終的に自分が判断すること。決して他人の『コスパ』なんかに左右されないでください。

人生は死ぬまでの過程です。短絡的な思考でコスパを追求するとしたら、死んだほうが早いことを忘れずに。目に見えるものだけで判断する能力だけなら、”彼ら”の上位互換はいくらでもいるのでね。

それでは。

どうでもいい追記:文中の「コスパ」は一般的なコスパ、『コスパ』は宣伝文句としてのコスパを指してるつもりです。気にしなくていいところなんですが、いちおう。
タイトルとURLをコピーしました